夜だから|映画公式サイト

イントロダクション

『夜だから』は、邦画界で活躍する気鋭のキャスト、スタッフが集結しインディペンデント体制で作り上げた映画である。
このところ数々の話題作を手がけ、躍進目覚ましい脚本家・港岳彦は、今回、過去の呪縛から逃れようとする者たちの『生の抗い』を 一組の男女の美しくも激しい物語として紡ぎだした。
東京から流れてきたダンサー・エリカ ― 彼女を体当たりで演じたのはシンガーでもあり、SCARLET DIVAのボーカルを務める千葉美裸。 エリカに安らぎを求めながら、自殺した妻の記憶に苛まれるタイチを若手性格俳優、波岡一喜が鮮やかに演じている。 さらに小宮一葉、舩木壱輝、Velmaが、二人の生き様に深くからむ。

監督の福山功起は、初の長編作品となるこの映画を撮影するに当たり 神代からの伝説を持つ歴史ある港町、京都府宮津市を選んだ。
宮津市の全面協力の下、協同プロデューサーでもある撮影の早坂伸がこの地の美しい情景を見事に切り取って見せた。 全編を流れる音楽を担当したのは、宇波拓。

また、多方面で活躍するスタイリスト松本智恵子が衣装を手がけている。 企画プロデュースは、脚本家でもある大原久澄。「大人の女性が鑑賞できる美しくエロティックな映画」に仕上がったと自負している。
ストーリー

エリカは東京でプロのダンサーをしている。 ある夜、エリカのステージに一人の女が乱入した。 女は刃物を振り回し、エリカを傷つける。 取り押さえられた女の顔を見て、エリカは息をのむ。 それはエリカの不倫相手である振付師の妻だった。
事件をきっかけにステージに立てなくなったエリカは、 心と体を癒すように、天橋立のある京都宮津へ身を寄せる。 イザナギがイザナミと交わった天浮橋が地上に落ちて、 天橋立になったと伝わる場所…
神秘に包まれた風光明媚な景色は、エリカの心に安らぎを与えてくれるが 彼女の自己破壊的な衝動は消えることがなく、孤独を紛らわせるように 酒におぼれ、自堕落な暮らしへ陥っていく。
そんなエリカを救ったのは、地元で肉体労働をしている男、タイチであった。 始まりこそ衝動的な体の関係だった二人。 だが武骨で優しいタイチに、エリカは少しずつ心を開いていく。 タイチもまた、ぎこちなくエリカに尽くした。 タイチの家で同棲生活を始めた二人は、心と体を重ねる蜜月を過ごす。やがてエリカは知る。 タイチもまた心に深い傷を負った男だということを。 タイチは自殺で妻を亡くしていたのだ。
エリカとタイチが心を開けば開くほど、死んだ妻の幻影は 二人を苛み始める。エリカは死んだ妻の幻影に悩まされ、 タイチもまた、封印したはずの過去に 足元を揺さぶられて、ついには二人揃って心が壊れていく。 お互いの魂をぶつけ合うように、激しく体を求め合う二人。
夜に出会った二人は、死んだ女に導かれるように、死の世界へと魅了されていく。 長い夜の彷徨の果てに、エリカはある決断を下す。 生きていくための決断を。
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